不登校傾向のある生徒に対し、生徒の環境・身体・心理・学習状況に応じて、個別最適化された支援を実践できる体制を整備することを目的としました。また同時に、学校・教員に対し、このような支援を現状以上の負担なく行えるようにすることも目指しています。
生徒への支援方針の体系化
城東中の不登校傾向のある生徒について、教員からの見取りの情報をもとに不登校の要因を詳細に分析。その結果、要因に対して行うべきと考えられる支援を4分類・10方針に定義しました。
このように支援の方向性を定義することで、生徒の状況に合わせた適切な支援内容を、学年や教員の違いに関わらず選択できるようになります。また、生徒の状況や行動を見ながら、支援内容を調整することを容易にしています。
情報共有プラットフォームの活用
日々の見取りや手立ての情報をデータとして蓄積する情報共有のしくみを活用しました。
これにより、生徒の変化を時系列で把握して支援の方針やタイミング、効果を検討し、そこから次の有効な手立てを導くことが可能となります。
チームとしての支援体制としくみのモデル化
城東中における支援の流れや必要な協働支援者などを検討し、学校・教員が現状以上の負担なく、かつ十分な支援を行えるようにするため、「チームとしての支援体制」を整理しました。
各教員、SC、SSW、行政機関などがどのような役割を果たすのか明確化し、必要なタイミングで連携をはかることを可能にします。生徒への支援が途切れてしまう人的・組織的な要因を排除し、継続的な支援サイクルを回せるようにすることが目的です。
専門家への理解を深める研修
チームとしての支援体制の必要性、SCやSSWなどが果たす役割への理解を深め、適切な連携をはかれるようにするために3つの研修を実施しました。
1:困難を抱える生徒への理解とチーム連携の重要性
2:コーチングへの理解とスキルアップ
3:生徒の「困り感」を把握する見取りと見立ての方法
支援到達率が20%から92.3%に
前年度の実証では支援到達率が20%でしたが、今年度は92.3%に。支援方針を共有、学校内外で連携して支援を実践、情報を蓄積して振り返りをしやすくした結果、26名中24名の生徒・保護者に支援を届けることができています。例えば学年途中から教室に入れなくなった生徒に対し、「専門的精神支援」(SC)、「日常的精神支援」(担任)、「教科学習支援」(大学生インターン)を行った結果、インターンに心を開いて欠席日数が減ったり、インターンやSCとのやり取りから学力不振の状況が把握できたりするようになりました。
支援の分担で支援の質が高まる
本実証の取り組みに対して関係者は、55%が「中」、38%が「高」という評価をしています。
○支援の細分化によって支援内容が意識しやすくなった
○生徒の状態に合わせ、支援の選択肢のマッチングを考えるようになった
○支援の分担によって支援の質が高まった
○心理的安全性の高い環境が構築できた
未解決の課題は連絡が取れない家庭への介入
効果のあった事例がある一方、解決できたとは言い難い課題について関係者は、「連絡が取れない家庭への介入」がもっとも大きいとしています。そして、このような難しいケースで変化の糸口を得るには、教員の手の及びにくい領域をサポートしてくれるSCやSSW、NPO法人などとさらなる連携が必要と考えています。しかし、実証終了後も活動を継続する際のネックとして、「予算の不足」「外部との連携を進めるコーディネーター不足」「SCやSSWの勤務日の固定化」があるとしています。
理想的な支援の実現に必要なこと
1:コーディネーター1名の加配
○個別の支援も可能で、学校内外の支援チームをまとめられる教員をコーディネーターとして加配。あるいは、心理と身体の専門家である養護教諭をコーディネーターとして加配。
2:SC・SSWの配置
○保護者に精神・福祉領域で対応できるSCやSSWなどの配置と勤務日時増。
○教育と福祉の連携が必須。子ども家庭庁など、縦割りでは越えられなかった壁を低くする制度設計も必要。
3:インターンの導入/専門家との連携
○日常的な精神支援や学習支援は大学生インターンが効果的。大学と協定締結するなどし、学生がスキルアップでき、支援も充実するしくみが必要。
○NPO法人や訪問支援員といった専門家・組織と必要に応じて連携を行えるしくみ。
使用サービス:Google Workspace for Education
Google Workspace for Education:
https://edu.google.com/intl/ALL_jp/
https://www.gakken.co.jp/
実証事例名 | 福山市立城東中学校 チーム学校による個別最適化された生徒支援実証 |
---|---|
受託事業者名 | 株式会社学研プラス |
実証パートナー名 | 福山市教員委員会、株式会社SPACE など |
実証年度 | |
事業カテゴリー種別 | |
実証地域 | 広島県福山市 |
実証校 | 福山市立城東中学校 |
対象 | |
対象学年 | 中学1年生~3年生 |
学校の授業において、生徒が身近な課題を発見し解決方法を見出すこと、またそれをwebサイト等のテクノロジーを生かして実現できるカリキュラム(...
1. 不登校児童生徒を対象としたICT在宅学習の実施 2. 人的サポートによる学習効果の定量的調査・測定 3. 学校現場の出席・学習評価のガイドラ...
昨年度の実証事業の評価をもとに、教員向け指導教本と児童向け副読本を作成の上、教員向け研修を事前に実施。今年度は、小学校授業への導入を前...
地方の公立スタンダート校で、英数校の3科目の授業に「すらら」を導入、個別最適化学習を実現することで、次の5つの実証を目指します。 1.生...
「あなたは、なにがしたい?」 i.Dareでは、オンラインミーティングとオフライン合宿を通じ、自己選択の積み重ねを大事にしています。正解のな...
学習eポータルをはじめ、データの連携・可視化を行う中で、生徒・支援者共に、どのようなユースケースで利用するのか、または、利用すると効果的...
当社グループが沖縄県うるま市と連携して取組む、持続的可能なスポーツ環境の構築・スポーツビジネスの創出に向けたアプローチ手法が、環境の異...
①格差解消の実現:公教育でSTEAM教育を補助金なく継続可能とすること ②個人情報を安全に扱いながら、持続可能な新しい資金の流れをつくる: ...